バゲット・マルシェ シェフインタビュー 3

皆さまから多くのリクエストをいただいた、バゲットマルシェのシェフインタビュー。3日目の本日が最後の7人になります。

■ HIMMEL

金長 賜之シェフ

金長シェフ
金長シェフ

 

平岩: 金長シェフにとってバゲットってどんなパンですか。

金長シェフ: 存在感のかたまりのような、パン屋にはなくてはならないパンですよね。

僕にとっては、バゲットがないパン屋さんは想像がつかないというか。

うちはドイツパンのお店ですけど、それでもバゲットを作るべきかどうかということは考えたことがないですね。ごく自然に、バゲットがあることが当たりまえだと思っていました。

だから売り切れちゃって店の中にバゲットがないと、もう、なんとなく店内がさみしいんですよね。できるだけ売り切れないようにしています。

僕にとってバゲットはそういう存在なのでバゲットがおいしくないといわれると、これくらいへこむものは無いなっていうくらいへこみますね。

 

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存在感のかたまりのような なくてはならないのがバゲット

 

平岩: 金長さん自身がバゲット大好きなんですね。それだけ存在感のあるバゲットですがどんなバゲットを目指してるんですか。

金長シェフ: バゲット自体が主張するよりも、パン屋としてはメインなんだけど、料理のなかではちょっとサブな感じで、何かと合わせて食べるとすごくいいかんじのバゲットをイメージしてます。焼成もそれほど焼かずに、おさえめにしています。18(アハツナー)バゲットはちょっと別ですけどね。

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

金長シェフ: 今回はハード系のパンを中心にだしていますが、お店ではほかのハード系もいろいろありますし、実はクラプフェンというドーナッツ風のパンもすごく好評なんですよ。僕がドイツに行った時に衝撃を受けたパンなんですよね。ぜひ来て試していただけるとうれしいです。

Tel  :  03-6431-0970

Adress  : 東京都大田区北千束3-28-4 アンシャンテ大岡山1F

 

■ FACTORY

三浦 隆広シェフ

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三浦シェフ

 

平岩: バゲットってどんなパンですか

三浦シェフ: パンの表情が素直に出るパンですよね。どんなパンより素直に出るなってしみじみ思います。

人が変わったり環境が変わったりすると、焼きあがった時の味や風味の違いが如実に出ますよね。シンプルな材料をつかっているし、だからこそ材料にこだわるのも一つの考え方ではありますし、粉一つとってもブレンドするか一つの粉でいくのか、いろいろ考え方があります。

 

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バゲットがパンの表情が一番よくでますね

 

平岩: いろいろな工夫をされてるバゲットですが、どんなイメージを追いかけてますか。

三浦シェフ: うちはベーカリーカフェなので、店で出す料理との相性というか、料理の邪魔をしないバゲットですよね。料理にあわせても、サンドイッチにしてもちょうどいい味のバゲット。そこが一番大事にしているところですよね。軽めの食感をだしたいのであえてイーストを使っています。スープにひたして食べる時の食感もいい感じになるように考えてますね。

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

三浦シェフ: 今回出すパンはお店のパンのほんの一部です。お店には30種類のパンがありますしそれに合わせて料理やサンドイッチをお出ししています。来ていただけるとありがたいですね。それから2月くらいにイチゴの酵母でつくったカンパーニュを出す予定で、これは香りが豊かで本当にお勧めですよ。

Tel  :    03-5212-8375

Adress  :  東京都 千代田区 九段南3-7-10 アーバンキューブ九段南1F

 

■ ブーランジェリー&カフェ マンマーノ

毛利 将人シェフ

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毛利シェフ

 

平岩: 作り手から見た時に、バゲットはどんなパンにあたるんでしょうか。

毛利シェフ: バゲットはパンの原点ですよね。

材料が一番シンプルですし、パンの真価が問われるものだと思います。単純だからこそ難しい。パンはみんな難しいですけど、その中でも特に難しいですよね。

うちは製法はあまり変えていないんですよ。そんななかでやっぱり時間をかけることが重要だと思っています。当たり前のことなんですが、ひとつひとつ、丁寧に時間をかけてつくることが大事ですよね。

たとえば一番最初のミキシングですが、練りあがりの段階で、もう大体その日の仕上がりが予想ついてしまいます。取り返しがきかないというか、もちろん状態に合わせていろいろ工夫しますが、やっぱり最初の段階で決まってしまう部分はあるんです。だから全部を丁寧にやらないといけないんです。

 

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バゲットは僕の言葉でいう「ジューシーさ」が重要だと思ってます

 

平岩: 毛利さんが求めているバゲットの姿ってどういう感じですか。

毛利シェフ:  粉の風味が強くて、うま味が十分でているバゲットですね。ジューシーな感じが大事です。

平岩: ジューシーっていう表現は珍しいというか、独特ですね。

毛利シェフ: 僕の言葉でいうと、ジューシーなんですよ(笑)。こう、食べてジュワッていうか、そういう印象が残るような食応えというか。水分量を増やせばいいということではなくて、噛んだ瞬間の感じ方のイメージなんですが。もともと師匠から教わった言葉なんですけどね。

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

毛利シェフ:  気取らず、普通のというか、なんの料理にも合うようなバゲットを作っています。実際多くのレストランにも卸させていただいてますし。単品で食べても素朴なバゲットの味ですが、手にとってみていただいて、ドライトマトでもハムでも何でも好きなものをはさんで食べてみて下さい。

Tel  :    03-6416-8022

Adress  :  東京都 渋谷区 西原3-6-5

 

■ LE PAIN de Joël Robuchon

山口 哲也シェフ

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山口シェフ

 

平岩: バゲットって山口シェフにとってどんなパンですか。

山口シェフ: シンプルなのにいろいろな変化がものすごくあるという、不思議なパンですね。

まず材料の種類が限られてますし、その中で吟味していかなければなりません。それに材料がシンプルな割に製法はかなりの数があります。その中でどれを選ぶかとかということもありますし、それとは別に温度帯・ミキシングの時間、発酵時間とかいろいろな要素があって、作り手の考え方とか好みとかをだしていく。

作り手から考えると、腕試しが一番できるパンということですね。考えや好みといいましたが、その背景には作り手の技量や知識がかならず反映されているわけです。技量の良し悪しと知識の深さがでてきます。

 

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技量の良し悪しと知識の深さが出る それがバゲット

 

平岩: ほかにもシンプルなパンはあると思うのですが、その中でバゲットはどう違うんでしょうか。

山口シェフ: バゲット以外の、たとえばカンパーニュやそれ以外のリーンなものは、粉にライ麦や全粒粉が入ったりルヴァンをつかったりしますが、そうするとその影響や味がけっこう大きいんですよね。

でもバゲットは小麦の風味ももちろん大事なんですけど、発酵のさせ方や熟成のさせ方がすごく重要でそれがきれいにできたかどうかがすごくわかりやすいし、ある意味、そこのごまかしがきかないものだと思うんです。

天然酵母ってすごく味に与えるパワーがあって、それをどうコントロールするのかっていう意味で逆に難しい部分はあるんですけど、イーストを使ったバゲットは単純にパンをつくるという根本的に土台となる部分が、一番はっきり出るのかなと思います。

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に何か一言おねがいします。

山口シェフ: 今回はちょっとお出しできなくて申し訳ないのですが、フェルマンタシオン・ラントという、クラシックよりもさらにどっしりした味わいのバゲットもお店の方にご用意しています。ぜひお店に来ていただいてお試しください。私をお店で見かけたら気楽に声をかけてください。

Tel  :       03-6434-1837

Adress  : 東京都 渋谷区 渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエShinQs B2F

 

■ ブーランジェリー ルボワ

森 朝春シェフ

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森シェフ

 

平岩: 森シェフにとってバゲットとは、という質問をしたいのですが。

森シェフ: バゲットは食事パンですよね。フランスの人たちにとって、日本人のお米にあたるようなパンです。だから歴史と伝統を感じながら作ってます。

技術的には、シンプルで難しい。食感・香り。味わい。どれをとってもフランスの歴史から来る深みみたいなものを感じますよね。途中の発酵状態だったり、成形であったり。

たとえば砂糖を加えてあるパンは、多少乾燥気味でも窯に入れれば伸てくれますけどバゲットは全然だめですからね。クープが開かない。そうすると内層まで変わってきちゃうんので、そうすると食感も口どけも変わってきちゃいますよね。

一番気を使いますね。冷やしちゃうとだめだし、ミキシングも大事だし。

 

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サクッとした軽さと歯切れの良さを求めてます

 

平岩: そういう、色々な工程で気を遣いながらどんな仕上がりを目指してますか。

森シェフ:  クラストが軽くサクッと歯切れがよいことですね。バリッとして大きく割れていて歯ごたえが硬いバゲットもたくさんありますけど、私が目指すのは軽く歯切れが良いこと。それとクラムが「ほんわり」していてダマにならずに口どけがいい。それでいて小麦の熟成されたうまみと、まろやかな塩分が感じられバゲットですね。

フランスでの体験がもとになってるんですよね。フランスのパン屋で働いていたお店で出していたパンがこういう味でした。なんだ、本場はそうなのかと。もちろん自分でもこちらの方がおいしく感じるからというのがあります

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

森シェフ:  バゲットやフランスパンって硬いっていうイメージがあるじゃないですか。そのイメージを捨てて食べてみていただきたいですね。もうフランスパンは硬くないですから。

あとリベイクして、温めて食べると風味が全然ちがいますから。日常的に食べる、気軽に食べていただきたいと思います。

Tel  :  03-3229-8015

Adress  : 東京都 中野区 弥生町 2-52-4

 

■ レサンクサンス

川田 興大シェフ

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川田シェフ

 

平岩: 川田シェフにとってバゲットってどんなパンですか

川田シェフ: 小麦粉のうまみを一番感じられるパンですよね。

砂糖も入って無いし油脂を使っていない、小麦粉と塩と水と酵母だけですからね。それに焼くときの火のあたる面積が大きい。白いパンに比べてバゲットは香ばしさを出した方が小麦粉の風味が感じられるじゃないですか。クラストを食べてみるといかにも小麦粉を食べてるなぁという感じがしますよね。

平岩: そういうバゲットを作るうえで川田さんのこだわりは。

川田シェフ:  やっぱり外側のクラストのパリパリ感とそれに比べて内層のモチモチ感のギャップみたいなものを大切にしてます。

そのためにうちは吸水を高めに設定してます。70%以上にしてますし、リヴァンリキッドをつかっているので実際にはそれ以上になりますね。

老麺もつかっていて、味的にはそれだけでも十分なんですが次の日でもおいしく食べていただきたいと思ってまして。ルヴァンリキッドを加えると老化のスピードがが抑えられるんですよね。そういう意味でルヴァンリキッドを使ってます。

 

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大切にしているのはクラストとクラムのギャップ

 

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

川田シェフ:  当店にはまだまだ今日お出ししたもの以外にもお勧めのフランスパンをたくさんおいていますので、是非一度いらっしゃってください。うちは店の規模としてはかなりフランス系の食事パンがあります。セレアルやロデヴも好評なんですよ。

Tel  :  03-6450-7935

Adress  : 東京都 世田谷区 若林1-7-1プチピエール三軒茶屋1F

 

■ BOULAGERIE L’aube

花房 幸子シェフ

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花房シェフ

 

平岩: 花房シェフにとってバゲットはどんなパンですか。

花房シェフ: あらゆる商品の中で、イマジネーションを一番使っているパンのような気がしますね。

もっとこうした方がいいかなっていうことをいつも考えているというか、自然に考えてしまうというか。だから半年ぐらいで作り方が変わってます。よし、今日作り方をかえよう!というよりも常に考えているので、自然と変わっていってしまうというか。

一番気をつかっているし、一番緊張しますね。同時に一番面白いパンでもあります。

 

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毎日のようにイマジネーションを働かせているパンです

 

平岩: そんな風に毎日考えつづけてるバゲットづくりで一番だいじなところは、どんな点なんでしょうか。

花房シェフ:  バゲットってそもそも「杖」っていう意味じゃないですか。そういう名前が付いていることは、杖のような形であることが本質的に大事な気がするんですよね。杖のような細長い形であることで、味わいに反映される部分があるというか。だから今のよりも、もっと細長い形状に変えようかと思ってるくらいなんです。

食べてて味に奥行きがあるというか、食べていて口の中でどんどん味が変わっていくようなバゲットをイメージしてます。うちのバゲットは、自家製の種を使っているのでその種の管理が一番大事ですね。それとパンチを入れるタイミングとか、分割するタイミング。これをベストなタイミングで行わないと、味が抜けたりとか風味にあたえる影響が大きいんです。

平岩: バゲット・マルシェに来ていただいたお客様に一言お願いします。

花房シェフ: 私は食事に合わせて食べるシンプルなパンを一生懸命作っています。今日のパンはみんなそういう私の想いがたくさん詰まっています。もし食べてみておいしかったらぜひお店に来てみてください。気軽に声をかけていただけるとうれしいです。

Tel  :    03-6721-6822

Adress  :  東京都渋谷区恵比寿1-16-20 竹下ビル1F

 

3日間にわたって掲載してまいりました。以上が今回ご協力いただきました20名のシェフのインタビューです。

簡単にまとめすぎていてシェフのみなさんの想いのごく一部しか伝えれられていないかもしれません。その点は申し訳ありませんが、今後もできるだけ「作る人」を伝えていく機会を増やしていくことによって、何とか埋め合わせをすることができればと思っています。

(平岩 高弘)

 

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